新・無電柱化計画/低コスト手法を導入/占用制限発動で本格推進/国交省

新・無電柱化計画/低コスト手法を導入/占用制限発動で本格推進/国交省

国土交通省は、2015年度に新たな「無電柱化推進計画」を策定する。現在の主流となっている電線共同溝方式による無電柱化を引き続き推し進める一方 で、これとは異なる直接埋設や、小型BOX活用方式といった低コスト手法の導入を促す。道路の新設や拡幅に合わせた同時整備に加え、緊急輸送道路に限定し た新設電柱の「占用制限」などで、無電柱化事業を本格的な推進フェーズに移行させる。
 国交省は、15年度予算概算要求に無電柱化の推進を掲げた。
 推進の方向性として提示するのは、同時整備の実施、道路の占用制限の実施、低コスト手法の導入など。道路の新設や拡幅を行う際に、道路整備と無電柱化の 同時整備(同時施工)を促すほか、防災上の優先度が高い緊急輸送道路に限定して電柱の新設を制限する「占用制限」の発動で無電柱化率の向上を図る。
 無電柱化の推進には、地上機器の民地への設置など、地域の協力が不可欠であることから、連携強化を目的に計画の策定に地域の声が反映される仕組みを検 討。15年度に新たな無電柱化推進計画を策定して、都市の防災や景観など幅広いメリットを持つ無電柱化に積極的に取り組む。
 無電柱化は、6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)にも促進の方向性が示されるなど、都市防災にとって欠かせない事業の1つになっている。
 実際に電柱の倒壊が人々の生活に大きな影響を与えた1995年の阪神・淡路大震災の電話回線ケーブルの被災率(神戸地区)をみると、架空線の2.4%に 対して、地中線は0.03%となっている。電線共同溝(無電柱化事業)が絶大な効果を発揮したことは数値上でも明らかだが、国内の無電柱化率は、東京23 区が7%(13年)、大阪市が5%(同)にとどまり、電線の地中化が標準とされるロンドンやパリといった海外の主要都市に比べれば依然として低い。
 国交省は、推進方策として、コスト低減を目的にした技術的な着眼点と、新設する電柱の占用制限という2つのポイントを抽出。無電柱化手法の1つで国内の 主流となっている電線共同溝方式に加え、電線共同溝の設置が難しい幅員の狭い道路など、路線の状況によってはコスト低減に着目した直接埋設や小型BOX活 用方式を導入する。直接埋設する場合の埋設の深さなど、技術的な課題を解決した上で無電柱化の推進体制を敷く。
 加えて、1年前の道路法の改正で防災上の優先度が高い緊急輸送道路に限定して「義務占用」物件である電柱の新設を制限することができるとした「占用制限」を発動。占用を制限するエリアや路線などを定めて、新設や拡幅などを行う際に無電柱化との同時整備を推し進めていく。
■無電柱化基本法(仮称)制定の 動き
 自民党は、ITS推進・道路調査会(山本有二会長)の無電柱化小委員会(小池百合子委員長)で無電柱化の推進を提言。基本方針となる「無電柱化基本法 (仮称)」の制定を見据えている。6月にまとめた中間提言では、電柱の新設を原則として廃止するなど、道路の新設や再開発などに合わせて無電柱化を強力に 促す方針を打ち出した。景観や防災、観光振興へのメリットを最大限に生かすため、2020年東京五輪を見据えながら、20年五輪までの目標値の設定に加 え、コストや技術面での課題解決策を探りながら、今秋をめどに最終提言をまとめる見通し。
[ 2014-09-09  2面] 

ブログ アーカイブ

人気の投稿:週間

人気の投稿:月間

人気の投稿:年間